H&M(2017年3Q)の分析

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外国株にも投資しているのですが、いろいろデータを眺めていて、H&Mが投資対象として面白そうなので記事にしてみます。

 

 1.H&Mと分析したきっかけ

H&M(エイチ・アンド・エム)は、スウェーデンのアパレルメーカーエイチ・アンド・エム ヘネス・アンド・マウリッツ(H & M Hennes & Mauritz AB, スウェーデン語発音:ホー・オック・エム ヘンネス・オック・マウリッツ、日本ではヘネス・アンド・モーリッツとも表記される)が展開するファッションブランド。

 

低価格かつファッション性のある衣料品を扱う、いわゆるファストファッションの一翼を担う企業のひとつである ※1

 

H&Mはファストファッションのアパレルメーカーで、派手な赤いH&Mが目立つ店舗です。日本でもよく見かけます。

 

投資を検討している理由は暴落株が好きだからです。2017年の世界市場の騰落トップ20を眺めていて、H&Mは欧州FTSE100の下落率ワースト1でした。ヨーロッパ市場で一番成績が悪く、マイナス32%です。ちなみに、アメリカ市場ではGEのマイナス45%ですね。

 

単純になぜ下落率1位なのか興味をもったので、調べてみました。暴落している株を買うときはロットに気を付けますが、一番気を付けているのは倒産確率が低いこと。財務が悪くないかを注意して、投資しています。

 

2.チャートと決算書について

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2年で50%以上下落しており、高値350クローナ、直近の200クローナから150クローナへとさらに急落しています。チャート的には買えないと思いますが、ファンダを重視するので、チャートは気にせず決算書の方へ。

 

 

①2016年までの決算について

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※2単位は、100万クローナ

 

2015年の9月ごろから株価は下落しているのですが、2015年から利益率が落ちており、どんどん悪化しています。

 

1クローナは、13.8円なので2016年の売上は凡そ3兆円です。営業利益が3000億円あり、しっかり稼いでいる企業だといえます。

 

ただし、この表をみてわかるように、売上は伸びているにもかかわらず利益は横ばい。さらに2017年通期の数字はまだ開示されていませんが、第3四半期においてはあまり稼げていません。

 

もう少し視覚的にわかりやすくするとこんなグラフになります。

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売上が伸びているにも関わらず、営業利益は横ばいです。特にアパレルなので、推測できるのは、店舗数はどんどん増えているにもかかわらず、利益は増加していない。

 

 

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※3 単位は100万クローナ

 

もう少し分解してみると、店舗数は伸びているのにも関わらず、店舗当たりの売上はそれほど伸びていない。直近は少し厳しい印象を受けます。

 

世界で2位の売上をほこるH&Mは、加速度的に店舗を増やしていますが、利益はでていない状況が続いています。先進国は日本・アメリカを含めかなり拡大が進み、新興国での店舗を増やしている。そうすると、所得が小さい新興国では1店舗当たりの売上、利益ともに拡大余地は減っている可能性があるということも推測されます。

 

比較対象となるユニクロは、2017年8月期時点で、3294店舗と近いですが、拡大スピードはH&Mのほうが早い。

 

 

②2017年第3四半期決算について

H&M直近暴落しているのは、2017年第3四半期及び、2017年通期の見通しがかなり厳しいことにあります。

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一番大事なのは直近3か月の決算。特に利益率が低下しているのが目につきます。営業利益率は、10%を保っていたのが9.6%まで低下。今後もかなり厳しいことが予想されます。ここまで悪くなって要因の一つは、オンライン化が遅れていること。

 

今は、ZARA、ユニクロもオンラインに力を入れていますし、さらに怖いのがアマゾンも衣料品に力をいれつつあること。小売業、特にアパレルが、店舗をもつことが資産ではなく負債になる可能性があること。

 

日本のアパレルもユニクロを除くと店舗数が多いところは、比較的業績が苦しい印象を受けます。日本の場合は、ZOZOが独り勝ちで、さらにアマゾンの影も見え隠れしていることがありますね。

 

ちなみにユニクロのサイトに非常にわかりやすい競合関係のデータがあったので共有いたします。

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※4

 

このデータが面白いのは、米国がランキングの多数を占めているのに、ZARA、H&M、ユニクロとアメリカ以外の企業がベスト3を占めていること。米国企業は、そもそもアメリカだけで大きな市場があるので、グローバル化は少し遅れている印象です。

 

3.ポジティブな要因

長々と書きましたが、ではなぜH&Mが投資対象となりうるのか。個人的な見解とだけお断りしておきます。またこのまま株価は暴落する可能性も十分にあるので、投資は慎重にお願いします。

 

①配当

実は非常に単純なのですが、配当利回りが良いという点です。株価160クローナに対して、利回りは6%程度。

 

当然、今後赤字になれば配当原資もなくなりますが、今のところ赤字ではない。また、自己資本比率は50%を超えており、キャッシュフローでもFCFの範囲で配当は賄えています。

 

つまり、この水準で何とか持ちこたえれば配当を維持することはそれほど難しくない点が1点です。

 

②株主

 

高値から50%以上暴落していますが、創業家は株を保有し続けており、いまだ株数の40%以上、議決権の70%以上を保有している。つまりオーナー側は売り抜けずに復活に賭けています。

 

さらに株数をストックオプション、増資などで希薄させておらず、既存の株主を大事にしている点も挙げられます。

 

③ファブレスとROE

ファストファッションの特徴の一つでもありますが、ファブレスです。設備投資は、工場ではなく主に店舗の拡大。4000店舗を超えていますが、工場は自社でもっていません。結果ROEは高く30%を超えており(2016年、31.2%)、非常に経営効率は高いといえます。

 

基本的に、多品種、大ロットの売り切りで利益を上げており、売り切れを厭わない点はユニクロと少し違った戦略をとっています。どんどん目新しい商品を仕入れることでお客の来店頻度を上げていることも今までの成功要因だと考えています。

 

 

 

4.ネガティブな要因

 

①競争戦略について

利益が減少しているので、増益になるタイミングが数年後だと、今投資するのは早すぎることになります。アパレル自体は、参入障壁が低い業界で、また顧客の忠誠心も低いため、投資するのは難しい。

 

ポーターのファイブフォースで考えても、強みは規模の経済(供給業者に対する競争力)ぐらいで戦略のかじとりが難しい業界にいると思います。

 

②店舗に訪れてみて

戦艦店に訪れましたが、休日の午後にもかかわらず、人はまばらでした。1店舗で判断するのも危険ですが、個人的にはユニクロで服を買うことが多く、品質面ではユニクロのほうがいいんじゃないかという印象。

 

試しにセール品を4着買いました。服についてはあまりこだわりがないので、自分の考え自体は一般的ではない考え、これは弱いネガティブ要因。

 

女性の意見を少し集めたいと思います。

 

③在庫について

アパレルで気を付けなければいけないのが、在庫リスク。在庫が徐々に増えている点は少し気になります。ただし、店舗増もあるので、1店舗当たりの在庫の推移に注目したい。

 

 

5.まとめ

 

良い点

・ファブレス、高いROE

・創業家が大株主、株数を減らしていない

・高い配当

・自己資本比率が高い

 

悪い点

・利益率が落ちており、回復の兆しは見せていない

・4000店舗あり、拡大余地が少ない

・オンライン化が遅れている

・参入障壁が低い業界、競争が激しい

・在庫増

 

 

結論としては、利回りやROEは魅力的だと考えつつ、リスクはそれなりに高いと考えそれほど大きな投資はせずに、業績の底打ちを見守ることにします。

 

競合分析を含め、細かい分析はできていないので、もう少し切り口を広げながら調査します。

 

投資は自己責任で、また、数値についてはご自身でご確認ください。決算数値については、簡略化している箇所もあるので、特にご自身で決算書をご確認願います。

 

※1 Wikipedia

※2、※3 H&M HPより

H&M group | Investors

※4 ファーストリテイリング社HPより 

業界でのポジション | FAST RETAILING CO., LTD.