日銀の資産残高と「財政金融政策の成功と失敗 黒田東彦 著」を読んで

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こんにちは、せみけんです。

 

まだまだ暑いですね。

本棚もようやくおさまりがついたのですが、大きな本棚を買ったため、結局あまり捨てずにおいておくことにしました。断捨離できないし、本は買うばっかりなんでどんどん増えてしまいます。

 

さて、本日は、日銀総裁の黒田氏が書いた本を読み直してみました。

 

日銀のバランスシートが国債や上場投資信託(ETF)の「爆買い」によって膨張している。日銀の統計によると、8月20日時点の資産残高は447兆9747億円あまりで、1年前から約90兆円増えた。

 

20日は土曜日だったため、19日夕時点の円相場(1ドル=100円13銭)で計算すると約4兆4739億ドル。米連邦準備理事会(FRB)の8月17日時点の資産残高4兆4664億ドルを上回った。(引用元:日本経済新聞 2016年8月26日)

 

日銀の資産買入は増加をたどるばかりで、ついにアメリカのFRBを上回る額になってしまっている。

 

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(引用元:日本銀行 2016年9月2日発表の8月末資産残高)

 

この中の上場投資信託の部分が9兆円の残高を示しており、すさまじい金融緩和の状態を示しています。株式を直接日銀が買うということは、ほかの国はでは行われておらず、日銀が保有しているということは賛否両論あるが、普通ではない状態です。

 

私は今回のアベノミクスで恩恵を受けており、批判する立場にはないです。ただ、やってみたものの、効果は限定的で、八方ふさがりの状態になっていることは間違いないと思います。

 

2016年9月の日銀政策決定会合(20日~21日)では、総括検証を行う予定で、私は当初縮小や見直しを行うのかと思っていたのだが、どうもそうではないよう。。

 

本を読み直し、黒田氏の考えを少しでも理解できればと思ったのでゆっくり読んでみました。

 

 

1.目次

2.1999-2004:「ゼロ金利政策」から「量的緩和」まで

 

 

 1.目次

 

1 為替フロート下の政策運営の難しさ

2 1971-73:「ニクソン・ショック」と財政金融超緩和

3 1973-75:第一次石油危機と「狂乱物価」への対応

4 1975-79:財政拡張によるスタグフレーションからの脱却

5 1979-81:第二次石油危機への対応

6 1981-85:「レーガノミックス」下の日本の財政金融政策

7 1985-90:「プラザ合意」後の大幅な財政金融緩和

8 1990-95:バブル崩壊後の財政金融政策

9 1995-97:超円高への対応

10 1997-99:消費税増税とアジア通貨危機

11 1999-2004:「ゼロ金利政策」から「量的緩和」まで

12 30年間の財政金融政策を振り返って

付論1 デフレの原因と責任の峻別を

付論2 世界的な経常収支不均衡とドルの行方

 

 

2005年に発刊になった本なので、10年以上にはなりますが、黒田氏は、やはり円高、デフレは悪と考えていることがはっきりと分かります。そして過去の為替介入政策は、成功に終わったものもあるが、日銀がもっと積極的に緩和に動き、デフレ脱却すべきだといっています。

 

 

 

2.1999-2004:「ゼロ金利政策」から「量的緩和」まで

 

この章が一番面白かったです。158ページに興味深いことが書いてあります。

金融政策については、市場との対話がいかに重要であり、経済主体の機体に働きかけることがいかに重要かということを物語っています。

市場との対話が重要って10年以上前に理解しているんですね。

 

日銀の金融緩和をみていても、サプライズ感が強く、「市場との対話」をしているようには見えないのです。恐らく黒田氏は、デフレ脱却するまではなんでもやる姿勢を見せていることが一番大事だと考えているのではないでしょうか。

 

あまりにもサプライズが強く、市場の乱高下を誘発しています。マイナス金利なんて誰も認識していなかったので、内容自体よりも発表の仕方に問題があります。

 

まずは市場にどういった政策の余地があるのかをしっかり認識させ、アメリカのように市場と対話していくべきだと思います。そして、日銀政策決定会合の発表が株式市場の開いている12時~13時ごろに発表になることでパニックを増幅させているため、15時以降に発表した方が混乱もないのと思います。

 

日銀がいまだに物価安定目標に消極的なのは理解しがたいところです。2%程度の物価目標を明示して、それに向けて徹底した金融緩和を進めることにより、一気にデフレ期待を破壊しなければ、デフレはいつまでたってもやまないでしょう。 

 

まさに10年以上前に言っていたことを実行しているわけですが、ここまで金融緩和して、それでもデフレに近づきつつあるってことは想定していなかったでしょうね。

 

金融緩和しても、生活が豊かには全然なっていなく、むしろ給与は減りつつあります。資産をもっているごく一部の人が恩恵を受けただけで、ほとんどの人は金融緩和って何それ?みたいな感覚ではないでしょうか。

 

2013年からアベノミクス相場は始まりましたが、タイミングが良かった(ドル高を受け入れるアメリカ経済)ため、勢いにのって、しばらくはきましたが、ここにきて日銀も打つ手ないでしょうね。

 

外債購入とかささやかれていますね。日銀のお金で海外の債券まで買うのはとも思いますが、一種の為替介入だと思えば、いいのでしょうか。仮に実行して、多少は円安になるかもしれませんが、購入量から考えれば効果はあまり期待できないような気もします。

 

いよいよ打つ手ないようですが、この本を読む限りはここで金融緩和を止めることは、考えにくいと思います。

 

デフレで名目GDP成長率がゼロやマイナスといった状況で財政再建をすることは経済的にも、政治的にも、ほとんど不可能です。その意味でも、金融政策がデフレを一日も早く払拭することが望まれます。

 

これは、正論ですし、その通りだと思います。黒田氏は物凄く悩んでいるでしょうね。今までの持論を展開し、積極的な金融緩和しているのに、それでもインフレにならない。ただし日銀もいつかはツケを払わないといけないこともあります。

 

ECB、日銀はまだまだ金融緩和方向にいるのに対して、FRBは、2回目の利上げに向かっていますが、これもなかなか実現せず、この先どうなるのか全然読めません。景気が良いと言われているアメリカですら対してインフレになってませんからね。中国のように、デフレ輸出プレーヤーがいると、どの国も影響をもろに受けますし、インフレにはならない世界になっているような気もします。

 

いずれにしても2016年9月の日銀政策決定会合には注目ですが、黒田氏の考え方を知るうえで、この本は役に立ちました。

 

 

財政金融政策の成功と失敗―激動する日本経済

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