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【投資本】ROE最貧国日本を変える

お勧めの投資本
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こんにちは、せみけんです。

 

本日も相場は強いまま、様子見継続ですが、この日銀主導の相場はどこまで続くのでしょうか。

 

 

 

本日のお題は、「ROE最貧国日本を変える」です。

先日、書評を書いた「投資される経営 売買される経営」、みさき投資の中神氏が執筆に参加している本で、良かったのでご紹介。

 


 

特に良かったのは、第5章の資本生産性の要因分解の箇所です。

 

1.資本生産性の要因分解について

2.海外企業の中長期の経営目標設定について

 

 

1.資本生産性の要因分解について

 

日本のROEが低い=収益性が低いという話は散々なされているのですが、この本のこの箇所を読むとすっきり分かります。

 

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(引用元:ROE最貧国日本を変える より)

 

 

ROEのデュポン分解で、日本は欧米と比べてマージンが低いことは明らかです。つまり純利益/売上高のところですね。

 

では構造的に何が問題なのかというと、4つのレイヤーで説明してくれています。

 

①制度的なもの 

・法人税が他国より高い

・他国にはない一定年数でののれん償却により会計利益が押し下げられている

 

確かにその通りですが、のれんの影響が大きい企業は既にIFRS導入も進めており、筆者もこの部分はあまり企業収益の本質にかかわるものではないと言っています。

 

法人税も段階的に下げていく方向にあり、国際競争力の観点ではプラスとまでいかないまでもマイナスの要因は見直しされているといえそう。

 

この制度的な管轄は、財務省、金融庁の担当範囲で、国の力が大きく働きます。

 

②業界構造的なもの

・業者数が多すぎ、過当競争・低事業マージンとなっている

 

中国で鉄鋼産業は過剰生産だと問題視されていますが、日本も同様の問題を抱えています。この本では、製粉、セメント、紙パ、食品があげられていますが、差別化が難しい商品も多く、その割にプレイヤーは多すぎます。

 

アメリカ万歳ではないですが、こういった産業は、アメリカの中にプレイヤーは一握りしかいません。新興国が追っかけてくる分野では過当競争を避け、集約が図られてしまってます。

 

個人投資家だとあまり投資しない分野かもしれません。低ROEかつ低PBRで景気や原材料の影響をもろに受けるため、投資しづらい産業です。

 

経済産業省の担当範囲とされています。日本はコストカットやカイゼンが得意なためこういった分野でも各企業が生き残っています。M&Aして集約が進めば、他の産業に人が行くこともでき、やはり改善が期待されます。人材不足ですし、雇用の流動化も併せてもっと効率化が進めばいいと考えています。

 

 

③全社経営レベルの問題

事業ポートフォリオの問題とされています。これはまさにその通りで、折角良い事業を持っているのにも関わらず、ダメな事業があるために足を引っ張られている会社が多いこと。

 

つまり、高収益の事業を保有しているのに、収益が長期間低迷している事業や赤字に陥っている事業を大事に保有している企業があまりにも多いということです。

 

私もIR説明会行くのが習慣のようなものですが、コングロマリットの会社は、リスクがあるとみています。特に5つ、6つの事業をやっている会社は要注意。

 

今後、望まれるのは、事業ベースでのM&Aによる再編で、そうすればお互いの強みが活き、相互にメリットがある事業となる可能性があります。

 

また、資本生産性向上させる仕組みについて理解されていないとも述べられています。

 

企業経営には、投資、M&A、配当、負債の返済、自社株買いという5つの資本運用オプションがあると考えられる。また、キャッシュフロー、負債、エクイティファインナンスという3つの資本調達オプションがあるだろう。

 

これらのオプションを並べてみて、どのオプションが最もリターンが上がるのか、またリターン実現のためにどのオプションで調達するのが最も低コストなのかを比較検討しながら選択・実行していく他ならない。

 

IRによく電話しますが、こういった資本政策についてよく検討しているとは考えづらい会社がかなりあります。そもそも資本政策のこと考えているかどうかも不明な会社が多いような気がします。

 

一方、こういった資本政策を大事にしている会社は、非常に投資しやすく、その為に中期経営計画と株主還元を比較しながら投資するようにしています。

 

この本でも述べられているデータで面白いのが、アメリカ企業は、無配当の会社が多く、また一方で、100%株主還元している会社もあります。それを平均すると配当性向30%ほどなんですが、日本は、配当性向30%という会社がそもそも多いですよね。

 

とりあえず配当を30%出すということに捕らわれている会社が多く、ポリシーを持っている会社は少ないかもしれません。こういったところに資本政策の甘さはありそうです。

 

日本の配当性向もアメリカに追いついたということが話題になったりしますが、資本政策という面ではまだまだだと思います。

 

④個別事業の運営が適切でない

・価格設定の問題

・過剰設備投資

・在庫

・労働生産性

 

本書では語られていないのですが、個別事業についても利益を出すという概念が薄いため、何となく続けている事業がどれだけあるでしょう。

 

そもそも収益性を追求していないため、在庫もいっぱい、設備もいっぱい、生産性は気にしていないといった事業が、たくさんあります。言い過ぎかもしれませんが、やはり事業別に売却や買収を進めてほしいです。

 

個人的な投資目線では、付加価値が少ない事業を保有している会社は投資対象とならない可能性が高いです。

 

2.海外企業の中長期の経営目標設定について

 

この章も参考になるのですが、海外企業の中長期の経営目標設定について優良30社を参考に分析されています。ネスレ、P&G、キャタピラーなど欧米の良く知られている企業について。

ROICあるいはそれに類する指標を掲げる企業はベンチマーク目標企業10社のうち7社となっている。

 

ROEを全社目標とする企業は30社の中では皆無。

 

~中略~

 

「高水準のROEは結果であり、経営目標はその実現を可能とする事業収益性が優先される。」 

 

ROEも日本が低すぎるため、まずは上げるという目標になるのは自然の流れですが、これだけ低金利の中、ROEを上げたいのであれば、自社株買いして借入増やせば上がってしまいます。

 

海外企業の資本政策はしっかりしていて、ROICでみることにより最適な資本構成で利益を出しているかを重視しています。

 

日本の企業は今のところROEを上げていくことになっていますが、ROICで考え、最適資本構成を長期的に考えた上での、資本政策をとってもらうことが望まれます。

 

ROIC…投下資本利益率
ROIC=NOPAT÷IC
NOPAT=営業利益×(1-税率)
IC=株主資本+有利子負債

 

中神氏の書いている本は大変参考になります。みさきが投資している会社も興味がありますね。また調べてみたいと思います。 

ROE最貧国日本を変える

ROE最貧国日本を変える