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【投資本】投資される経営 売買される経営

お勧めの投資本
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こんにちは、せみけんです。

先日、書店をぶらついてたら、かなりの良書を発見しました。これは中長期投資家にはお勧めの一冊です。

 

みさき投資株式会社の代表取締役社長 中神氏の著書です。みさき投資は、中長期投資で有名な投資ファンドです。

 

投資哲学について、以下をご覧ください。

 

私たちが目指すもの、それは『働く株主®』です。

 

株式投資の世界は短期主義に支配されているようです。四半期業績を当てることに全力を注ぎ、短期の売り買いで鞘を抜く。あるいは「モノ言う株主」といいながら、 株価を上げる目先のイベントを作ることにしか興味が無い。しかし、本来の株主の役割は、長期的な視野で企業経営を理解し、企業価値向上に貢献することのはずです。株主は、 経営陣や従業員と同様、会社を支える一員としての役割を果たすべきだと考えます。

 

私たちは、日本に「新しい株主モデル」を作り上げたいと考えています。日本の上場企業に投資し、 長期に亘って支える株主となり、経営陣と共に「働く」ことで企業進化を応援する。受動的な株式運用とも、また敵対的なアクティビストファンドとも異なる社会的意義を見据え、 スチュワードシップコードの精神を体現する「エンゲージメントファンド」として、投資先企業の価値向上を実現し、投資家に高いリターンを実現することを目指したいと考えています。

 

私たちは過去同じコンセプトで8年半に亘り、リーマンショックや震災を乗り越えて実績を積み重ね、各方面から高い評価を頂戴してきたメンバーです。今回、私たちの理念をさらに深めるため、 「みさき投資株式会社」を設立しました。社外役員・経営諮問委員には各界の第一人者を招聘し、私たちの理念である「投資家益」「企業益」「社会益」を追求する組織体制としております。(引用元:みさき投資株式会社 ホームページ)

 

なかなかの筋金入りの中長期投資家です。中神社長は、アクセンチュアで約20年コンサルとして働き、投資運用の世界は2005年からとかなりの異端児です。

 

ヘッジファンドマネージャーはその世界でずっとやっているか、アナリストからの転身が普通ですが、コンサルでやってきたことを運用に活かす凄腕です。

 

でもこの本は、本質をついていますし、何故日本では中長期投資が本流じゃないかもすっと理解できました。

 

目次はこちらです。

 

第1章 なぜ投資家は分かりづらい行動をとるのかー投資家生態学

第2章 会社には(当たらずとも遠からずの)「絶対価値」がある

第3章 持続的に価値が上がる会社とはどんな会社か

第4章 「投資される経営」-持続的価値向上の事例集

第5章 「投資される経営」のための基本ガイド

おわりに 投資家という存在の意味

 

 

 

こういう感じでまとめてみました。

1.短期投資家ばかりになる理由 -そもそも安心して長期投資できる企業が少ないー

2.競争障壁を築くための5つの切り口

3.登場する企業

 

 

1.短期投資家ばかりになる理由 -そもそも安心して長期投資できる企業が少ないー

日本で長期投資が難しいもう1つの理由は、長期にわたって業績を上げている企業がそもそも少ないという問題です。 (中略)

株主資本コストを上回る資本生産性を出せていた会社は全上場企業の中で25%程度しかありません。

 

これは、非常に的を得たことを言っているデータです。つまり株主として本来得ることができるリターンを得ることができない企業が75%もあるのです。

 

もともと日本の企業はROEも低く、そもそも株主として期待できるリターンを得ることが難しいのです。会社は、内部留保をため込み、ただ現金をため込んでいるか、無駄な投資(特にM&A)で資産を劣化させている企業のどちらかが典型的なダメな企業ではないでしょうか。

 

長期投資で報われないと、当然ですが短期投資に走ります。日本の投資家は回転が欧米諸国より多いそうで、短期の値幅取りをやる投資家が多いのも仕方ないところかもしれません。

 

 

2.競争障壁を築くための5つの切り口

付加価値の薄い投資事業を営んでいる投資家としては、今現在、優位性や収益性が高いから長期投資してもよいというわけではありません。その優位性が圧倒的な「障壁」になっている、ごく少数の企業を選んで投資しなければならないのです。

 

バフェットも堀と呼んでいる部分ですね。障壁が高ければ高いほど他社は参入できず、ブランドもその一つかもしれません。

 

本書では以下の5つがあげられています。

 

①リソース 特定の企業しか持っていない独特の資源

②規模 規模がもたらすコスト優位

③スイッチングコスト 変えるのが大変

④習慣化 嗜好品や慣習化してしまうもの

⑤サーチコスト 探すのが大変

 

できるだけ自由競争の市場から遠ざかり、売り手市場となるように注力することです。売り手市場ではなく、買い手市場の代表的な例は、電力自由化、携帯のSIM販売などですが、これはとことん価格競争が進み、勝者はだれもいない状態です。こういった市場ではなく、①~⑤を活かしたサービス・商品の展開を進めるよう必要があると述べています。

 

企業価値は、以下のように決まると述べています。

V=(b×p)m

 

b=business 事業の資質

p=people ヒトの気質

m=management 経営の洗練

 

事業の資質だけでは、長期投資する理由には弱く、ヒトと経営が信頼できないと投資できないと述べています。事業の質が良いと競争も激しくなく長期に渡って成功を収める可能性もありますが、ずっと成功し続けるとは限りません。

 

リーマンショックや震災などの外部的要因でも起こりうる苦境の時ほど、ヒトや経営の真価は発揮されます。この公式は当たり前ということもできますが、本質なのは間違いないです。

 

 

3.登場する企業

ピジョン、アインファーマシーズ、オムロン、ディスコ、エーザイ、3Mが紹介されています。この部分は具体的で非常に分かりやすいですが、長期投資でここまでしなければならないのなら個人投資家には難しいかもと改めて感じました。

 

というのも、さっきお話しした通り、日本の企業は株主資本コストを下回っている企業が多く、失敗しやすい環境にあるからです。ピジョンは、みさき投資のアドバイスもありグローバル企業へと大きく変革した結果、10年で10倍に株価が上昇しました。

 

アメリカ株投資より日本株投資で報われるとしたら、ピジョンのように大きく化ける企業があるかもしれないという点です。

 

 

このみさき投資の中神氏は、コンサルから運用するにあたって物凄く勉強されたことがこの本だけでも分かります。投資の本質とは何かを、しっかり語ってくれています。経営と投資は切り離さず共存共栄でいくというのが、すっきり頭の中で理解できました。

 

個人投資家でどこまでできるかわかりませんが、中長期投資の理想だと思うので、自分の投資スタイルに取り込めるよう何度か読んでみたいと思います。月に数十冊経営、投資関係の本を読む私としては、2016年のベスト3には間違いなく入る本。投資の本としても勿論役に立ちますが、経営の本としても良いかもしれませんね。

 

 

投資される経営 売買(うりかい)される経営

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